1年前。退職する3月末には「辞める」ということが「ゴール」でした。
しかし「辞めたこと」は「スタート」であり、変わっていくきっかけでした。
1.人目を気にしなくなった
教員は教育公務員。信用失墜行為をすれば処分されます。
信用されるためには、それなりの外見や振る舞いが求められます。
毎日スーツにネクタイ。
ヘアスタイルも「それなりの50代男性」に。
社会の規則を守るのは当然ですが、「学校の教員が…」などと後ろ指さされるような行動は絶対にしないよう肝に銘じていました。
つまり、「人の目」を常に意識して生きてきました。仕事上でも私生活でも。
4月からは、もうそれとは無縁です。教員ではありませんから。
ただ「まるす先生はどうしてこんな時間に、こんなところにいるのだろう」などと思われることを気にしていました。早期退職しました、といちいち説明するのもめんどくさいですし。
良かったのは、コロナ禍でマスク生活をしていることでした。常に顔を隠しているので、知人ですらすれ違っても分からないことがあるくらいですから。
それから、白髪染めの代わりに「金髪」にブリーチしてみました。所ジョージさんのような感じです。気に入っているので今はやや赤みのある金髪です。
気分もカジュアルな感じになりました。
まさか数か月前まで学校の教員だったとは誰も思わないでしょう。
2.料理のレパートリーが増えた
家内の扶養家族である私は「専業主夫」。
掃除、洗濯はもちろん、毎日の夕食も作ります。
スーパーに買い出しに行き、「1000円以内」を目標にメニューを考えながら買い物をします。
1000円で2人分を作るのは、実はけっこう難しいのです。値下げのシールが貼ってあるもの、「見切り品」の棚は要チェック。
夕食を作る時間は十分あります 。なんなら朝から作ることもできます。お惣菜はなるべく買わず、まとめ買いした野菜なども使って作るようにしています。
これはかなり楽しい「趣味」です。
もともと料理は好きなので、妻が遅いときや休日にはキッチンに立つこともありました。しかし、毎日ではありませんでしたから、買い物の金額などあまり気にもしていませんでした。
また料理レシピアプリやYouTube動画もよく見ます。
魚も自分でさばけるようになりました。
3.やってみたかったことに取り組む時間ができた
教員時代の私生活に「余暇」はほぼありませんでした。
退職を決めた時から、スマホの中に「やりたいことリスト」を作り、思いついたことやテレビで見た面白そうなことを書き込んでいました。
①ジムでのトレーニング
もともと体を動かすのは好きでしたが、運動不足ですっかり筋力が衰えてしまっていました。「もう一度ボディメイクをしたい!」という思いがずっとあったので、近所にできた24時間制のトレーニングジムに入会。冷暖房完備、シャワーも使えるサブスク制のジムです。週3で通って、筋肉もついてきました。
②硬式テニスのレッスン
高校まで軟式テニス部に所属、教員時代の大半はソフトテニス部の顧問でした。学生時代の多くの友人は、硬式テニスを楽しんでいます。それなりにプレイができないと仲間に入れてもらえません。「きちんと教えてもらいたい」と思っていたので、市のテニス教室に入会して、コーチに基礎から教えてもらっています。シニアの方たちと平日の午前中にプレイするのはとても楽しいです。(教員だったとは誰も知らないので、気分も気楽です)
③市民大学講座
基本的に学ぶことは好きなので、年間通して学べる市民講座に入会しました。毎週1回市民センターに行き、講義を聴いたりフィールドワークに出かけたりします。「研究レポート」の作成が卒業の課題でした。私は「中学校運動部活動の地域移行について」調査して発表しました。
④個別株投資
つみたてNISAとiDeCoは退職の1年前から始めていました。退職する年の1月に国家資格のFP3(3級ファイナンシャル・プランニング技能士)の資格を取得しました。その勉強をする中で、個別株投資にも興味を持ちました。「退職金で株式投資をするのは失敗の王道」と言われます。だからこそマネーリテラシーを高め、挑戦してみたいと思っていました。昨年の6月に投資を始め、利益を上げたり損失を出したりしながら現在に至ります。トントンよりちょっとプラスというところです。
⑤ブログを立ち上げる
退職するにあたって、「60歳までに何か収入を得られる手段を作りたい」と考えていました。在宅で大きな設備投資もいらないネットビジネスから始めてみようと思い、クラウドソーシングサイトに登録しました。webライターで安定的に収益を上げる修行のためには「ブログ運営」が良いと聞き、このブログを立ち上げました。分からないことだらけで、更新もままなりませんが、ちょっとずつ勝手がわかってきました。収益を上げるには当分時間がかかりそうです。
⑥日記をつける
退職後は「きょういく」と「きょうよう」が必要だ、とよく言います。「今日行くところ」と「今日の用事(やること)」があることが生活に変化を生むというところでしょうか。
また、働いていたころと違って、カレンダーの感覚が完全になくなります。今日が何日で、何曜日なのか、さっぱり気にならなくなるのです。とりあえず自分の一日を振り返り、行ったところと4行ほどの日記をつけています。普段のスケジュール管理はGoogleカレンダーで行っています。(スマホ、iPad、パソコンが同期しているのでとても便利です。)しかし一日の行動をすべて残すことはできないので、やはりデジタルとアナログの融合が良いようです。2年目に入り、2冊目の日記帳を使っています。
いわゆる「FIRE」(Financial Independence=経済的自立, Retire Early=早期退職)とは全く違いますが、生活がこんなにも変化するとは思っていませんでした。
いずれにしても、退職までに「準備」をしていたことが功を奏しているように思います。