漆器(しっき)は、木や紙などに漆(うるし)を塗り重ねて作る工芸品です。本来は漆が塗られた漆工品全般を指します。
日本では「漆を塗った食器」が古くから生活の中に根付いています。箸やお椀などは身近な漆器のひとつです。
「八雲塗(やくもぬり)」は、島根県松江市で生産される漆器です。良質な漆と伝統的な技法を用いて作られており、盆や椀、花器など、さまざまな製品があります。
経年によって魅力が増していく八雲塗は、長く愛用したくなる漆器として人気。使い込んだ製品には、他の漆器とは一味違った美しさがあります。
その八雲塗が誕生したのは明治時代。松江市西茶町の職人が、試行錯誤して作り始めたそうです。
「まちづくりについて考える日」イベント
松江市が進める職人商店街の構想、中心市街地の活性化のために開催されたイベントです。
江戸時代からある商店街の空き店舗を利用した、「職人の技、手仕事体験」に参加しました。
「和菓子」「蕎麦打ち」の部屋には親子連れが10組ずつ。
「漆絵の絵付け」は4組。私以外は小学生の親子でした。
講師は山本漆器店の長屋桃子さん。金沢の大学で勉強され、数年前に地元に戻られた女性です。
どんなものにも絵付けはできるそうですが、私は朱色のコンパクトを選びました。(本当は黒色が良かったのですが…)
採取した漆を生成し、それに染料を混ぜた塗料。一般的に知られている塗料(絵具やペンキなど)は乾燥することで硬化します。
しかし、漆は吸気中の水分を吸うことで固まるのです。だから時間が経過するほど丈夫になるのだそうです。
その特性があるので、ティッシュペーパーで拭き取れば、描き直しも可能です。
世界に一つだけの作品を
「ではみなさん、自由に絵付けしてみてくださいね」と笑顔の長屋さん。
「自由」と言われると、逆に困ります。
とりあえずスマホでなんとなく画像を検索。
何度かティッシュで「なかったこと」にしましたが、ドットを使って樹を描いてみました。
できあがった作品を乾燥させ、長屋さんが磨きをかけて郵送してくださることになっています。
どんな仕上がりになるのか、とても楽しみです。
漆を「Japan」、陶器を「China」と呼んだように、漆塗りは日本を代表する美術品、工芸品です。
手仕事を体験することで、改めて歴史や価値を感じました。